お客様インタビュー
未来をかたちにする趣味人
-DIYと科学を愛するドイツ人クリエイター マルクス氏の素顔-
- ASKA3Dのメイン用途
- 個人の趣味(DIY)におけるSF的表現の実現
- インタビューさせていただいた方
- Markus Mierse氏
今回は趣向を変え、個人でASKA3Dを使用したプロダクトを製作し、その工程と完成品をYouTubeで紹介したミュンヘン(ドイツ)在住のクリエイター、Markus Mierse氏へのインタビューです。
Markus氏のYouTubeは登録者数約4,000人、ASKA3Dを取り扱った動画は20,000回以上再生され、様々な国のクリエイターやSFファンからコメントが寄せられました。YouTubeを見た海外の方から弊社へお問い合わせを多数いただき、今回のインタビュー企画へと繋がりました。
YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=uMe7RNvCW6g
2025年8月5日
まずは簡単に自己紹介をお願いします。
私はMarkus、55歳でドイツ・ミュンヘン在住です。子どもの頃からテクノロジーや科学が大好きで、学生時代は応用物理を学びました。この分野はさまざまな科学の知見を融合させられる点が魅力です。エンジニアとしての気質が強く、技術的な課題に挑み、新しい装置を設計・制作することに喜びを感じます。特に、コンピューターグラフィックスや最新のディスプレイ技術には昔から惹かれてきました。
本業が忙しいため自由な時間は限られていますが、それでも自分のプロジェクトを形にしたくなる衝動に駆られます。自宅に小さな作業場を設け、DIYを始めたのは自然な流れでした。本格的にのめり込んだのは2018年に初めて3Dプリンターを手に入れてから。CADで設計した部品を実際に形にできるようになり、創造の可能性が一気に広がった瞬間でした。
この趣味のもう一つの魅力は、「自由」であること。締切もなければ、厳格な予算も(ほとんど)ありません。だからこそ、本当にやりたいことに集中できます。一歩ずつ、自分のアイデアを現実にしていくことが何より楽しいのです。
私のクリエイティブに関する活動は、特に影響を受けた一人の人物がいるわけではありませんが、素晴らしい作品を作るクリエイターたちには多くの刺激を受けています。
見ての通り、私は未来技術やSFが大好きな「サイエンスフィクション・オタク」です。まだ存在しないけれど、もしかしたら実現できるかもしれないアイデアに惹かれます。中でも、あまり知られていない手法でそれを実現しようとするところが面白いんです。
制作するプロダクトの見た目は重要ですが、私は特に「動く」ものを作るのが好きです。完成した構造にふさわしい外観があれば最高ですね。デザインのインスピレーションは、映画『STAR WARS』などからもよく得ています。
私のYouTubeチャンネルの視聴者の反応は、いつも制作の大きなモチベーションになります。ポジティブなコメントをもらえると嬉しいですし、「こうしたらもっと面白くなるかも」というアイデアをもらえるのもありがたいですね。商業色を極力排除してチャンネルを運営しており、スポンサーも基本的にはつけていません(オファーはありましたが)。
これはあくまで趣味としてやっていることで、私のプロジェクトが誰かを刺激したり、実際に作ってみようと思ってもらえるならそれだけで嬉しいんです。実際にそういう事例も何度かあり、とても誇りに思っています。
初めてASKA3Dを見たとき、どのような印象を受けましたか?
昨年(2024年)、ドイツのとある学会で日本人教授による空中映像の講演を拝見しました。とても刺激的な内容で、自分でも同じような装置を作ってみたいと思いました。その仕組みは、レトロリフレクターとビームスプリッターを特定の配置に組み合わせ、明るいディスプレイを使うというものです。私も過去のプロジェクトで試しましたが、光のロスが大きく、映像もややぼやけてしまいました。
それでもこの技術の応用に強い興味を抱き、さらに調べていく中でASKA3Dの存在を知りました。「こんな製品が実際にあるのか!」と驚きました。空中映像が実現できるのはASKA3Dプレートがあってこそだと知り、すぐに試してみたくなって購入しました。
※レトロリフレクター:入射した光を、入射方向と平行で、かつ反対の方向へと反射する装置
※ビームスプリッター:入射光を所定の分割比で2つの光に分割する光学部品
実際にASKA3Dを使用してみて、特に驚いた点や「他にはない」と感じたユニークな特徴はありますか?
最初に試したとき、以前のプロジェクトに比べて映像がはるかに明るく、シャープだったのに驚きました。しかも、レトロリフレクターやビームスプリッターが不要なので、構造がとてもコンパクトで扱いやすいのが魅力です。
SF的な要素で、このデバイスと親和性があると思うものはありますか?
空中に映像が浮かんでいるというだけで、SFの世界を連想します。多くの映画で登場するような技術です。たとえば『マイノリティ・リポート(2002)』では、トム・クルーズ演じる主人公が浮遊するディスプレイをジェスチャーで操作していますし、『アバター(2009)』でも空中に浮かぶホログラフィック表示が登場します。こうした「触れそうで触れられない」表示技術は、情報との新しいインタラクションの形として非常に魅力的です。
普段制作しているDIY作品との親和性はありますか? 何かエピソードがあれば教えてください。
ASKA3Dプレートを使い、暗いアクリル板を通して空中映像を投影してみました。これがとても上手くいって、飛行機の上に何かを出現させるというアイデアが浮かびました。SF好きとしては、テーブル上でホログラムのモンスターが戦う「ホロチェス」(STAR WARS内の架空のゲーム)を思い出しましたね。ぜひ私のYouTubeを見てください。
次回は【ASKA3Dへの思いや期待】について伺います。